2024.08.06
研修医ブログ
100年に一度咲く花、リュウゼツラン
こんにちは。
2年間の初期研修を終え、総合診療科の専攻医となりました服部です。ご無沙汰しております。
最近とても暑いですね。
車のエアコンの吹き出し口って上方向(顔や上半身)と下方向(足元)に分かれてると思うんですけど、夏を迎えようとする6月末のある日、愛車の上方向のエアコンだけがぴたりと沈黙しました。
暑い空気は上へ冷たい空気は下へ行きますから、クーラーをフル稼働させエアコンぶんぶんお兄さんと化してもむしろ上半身の暑さが際立つばかりで、山梨の夏の厳しさをひしひしと実感する毎日を送っております。
さて、私は今年4月から山梨県北杜市にある武川診療所に赴任しております。
武川診療所の特徴や診療の様子などについてお伝えしたい気持ちは山々ですがそれはまたの機会とさせていただき、今回は武川診療所の近くにちょうど咲いている”100年に一度咲く花”をテーマにブログを書きます。
きっかけは外来患者さん
武川診療所に定期通院されている患者さんには、高血圧や脂質異常症などの生活習慣病の治療をされている方が多くいらっしゃいます。そのため普段から、食生活や運動習慣などの状況を伺ったり、相談の上で目標設定をしたりしています。
ある日の外来にて、いつものように運動習慣について伺っていた時、「珍しい花が近くに咲いていて、ウォーキングのコースに組み込んでいる」というお話をしてくださった患者さんがおられました。
どうやら”100年に一度しか咲かない”と言われてるらしく、ご丁寧に「診療所の近くで、○○の通りの○○の近くの、、、」と説明して頂きました。
しかし、申し訳ないことに如何せん北杜市の土地勘がなく、この時は位置の見当は全く付きませんでした。
”100年に一度咲く花” その正体は”リュウゼツラン”
その後、ふと気になって調べてみたところ、どうやらリュウゼツラン(竜舌蘭、学名;Agave)という植物だと分かりました。
中央アメリカ原産の単子葉植物で、数十年をかけて成長し一度だけ花を咲かせ枯れてしまうようです。
実際は開花まで100年かかることはないようですが、100年(1世紀)に一度咲くと誤認され英語で”century plant”という別名があるようです。”100年に一度咲く花”と言われる所以と思われます。
「100年はかからない」と言いつつも日本では開花まで30~50年かかるよう。人生で目にする機会はそうそうない、見に行こう…と思い至りました。
小さな冒険の始まり
先日の患者さんの話から、武川診療所からそう遠くない場所にあるということは分かっていますが、詳細な場所は分かりません。
さっそく「リュウゼツラン 北杜市」でググります。
しかし驚くことに、情報がほとんどないのです。
あったのは、Instagramの投稿が数件だけ。しかし具体的な場所はいくら探しても載っていません。
今時、どこかの場所に行こうと思い立って「調べてもわからない」なんて状況、ほとんどないですよね?
あるのは、インスタに載っていた花の写真のみ。映り込む背景から場所を特定しなくてはなりません。
小さな興奮を覚えました。便利な時代になり、忘れていた感覚。
休日のお昼時、いつもと違うワクワク感を抱きながら、いつもの道を走ります。
こころなしか心拍数があがっている気がします。冒険心がくすぐられているからでしょうか。
…あー、これ違うな車内の温度が高いだけだわ。
ついに発見!
武川診療所の近くに到着。手がかりの写真の背景と周りの風景を見比べ、細い道にも入っていきます。
「これ思ったより難しくないか?」と思い始めたのも束の間、写真をよく見ると特徴的な建物の一部が移りこんでおり、大方の場所が絞れました。
https://www.instagram.com/p/C-Hc7hSz3FR/?igsh=MWsxMWoyM2pzenpkYw==
(参考にしたinstagramの投稿。貴重な情報ありがとうございます!)
写真と同じ角度からその建物が見えるような位置を探して適当に車を走らせ、ついにリュウゼツランを発見しました!
感動の瞬間!要した時間は5分!短い!なんとも短い冒険!そもそも武川は遮蔽物が少ないイージーモード!
素直な感想は、デカい、暑い、見たことない、まぶしい、暑い
およそ5m程あるその茎の上の方で、ニョキっと茎が分岐し、小さな黄色い花がかたまりとなって咲いています。
2024/8/3、快晴。14:00、気温33℃。日陰なし。写真を撮って早々に引き上げました。
まだ満開じゃない!さっそく冒険にでかけよう!
リュウゼツランは、下の方の花から徐々に開花して行くそうです。
一枚目の写真を見てもらうと分かる通り、上の方の花はまだ蕾のまま。8/3現在ではまだ開花途中になります。
つまり、まだ花を見る時間的猶予はあるということです。
はい、あえて場所は明記していません。
次の冒険者は、君だ!
なんとあの有名なお酒の材料
最後に、医学に関連する小話をば。
リュウゼツランは、テキーラの材料らしいです。
テキーラと言えば、大学生が悪ノリでショットして急性アルコール中毒(医学的に言う酩酊)で運ばれがちなイメージがありますね。
小さいショットグラスなのに酔っぱらうのは、アルコール濃度が約40%と高いからですね。
アルコール量に換算すると、テキーラ1ショット(45ml)はアルコール15gに相当し、おおよそビール1缶(350ml)に相当します。
厚生労働省が推進する「健康日本21」には、節度ある適度な飲酒量として「一日平均純アルコールは約20g」としていますので、テキーラは1ショットくらいにとどめておくのが良いでしょう。
もし未来ある医学生がこのブログを読んでくれているなら、アドバイスを1つ。
ウェイウェイした飲み会で先輩に「おいテキーラショットしようぜ」と言われた際は、ぜひ、「健康日本21で推奨されている純アルコール量を超えないよう1回のみお付き合いさせて頂きます」と断りを入れておくといいですよ。
おそらく2度と呼ばれなくなると思いますので、自己責任でご活用ください。