2022.12.09
研修医ブログ
子どもの予防接種はたいへん
こんにちは、小児科研修2ヶ月目の渡部です。本日は予防接種について紹介します。
甲府共立診療所小児科では、乳幼児が定期接種として受けるBCGや4種混合、ロタウイルス等の定期接種だけではなく、毎年秋頃にインフルエンザワクチン接種を行っています。
※今回のブログで掲載している写真は、予防接種にいらしたご家族の許可をいただいて、撮影・掲載しています
接種前診察
予防接種を受けるにあたって、問診票確認や診察を行い、予防接種を施行してよいかを評価していきます。
この時重要なのが感染症の有無です。
ワクチンの主な副作用として発熱がありますが、ワクチンによる発熱は基本的に自然に解熱します。しかし、感染症を発症している方がワクチン接種翌日に発熱した場合、感染症により発熱しているのか、ワクチンにより発熱しているのか評価が難しくなります。
また感染症を引き起こしていると、体内の免疫機構が感染症に対して働き、ワクチンに対し働きかける量が減少し、生成される抗体量が(健常人へのワクチン接種と比較すると)少なくなる可能性があるともいわれています。
泣かないでほしいけど…
診察で問題ないことが確認できた子供たちに、ワクチン接種を行います。
大人では我慢できる注射の痛みですが、多くの子どもは嫌がり泣いてしまいます。
40人程度接種を行いましたが、嫌がる子に対しては「すぐに終わるからね」「なるべく痛くしないよ」等声がけを行いながら接種します。
それでも泣いてしまう子や腕を動かしてしまう子はおり、接種を難しくします。針が抜けないようにシリンジを固定する方法を工夫し、どのような子でも安全に投与できるように心がけています。
インフルエンザワクチンのお話
今回はインフルエンザワクチンの接種についても説明します。
国内で広く使用されるインフルエンザワクチンは「4価ワクチン」と呼ばれ、インフルエンザウイルスA型株(2種類)とB型株(2種類)のそれぞれを培養して製造されています。
インフルエンザは例年12月~4月頃に流行し、1月末~3月にかけて感染のピークが来ます。そのため12月中旬までに摂取することが望ましいと考えられています。
インフルエンザワクチンの接種量は年齢によって異なります。
生後6ヶ月から3歳未満は0.25 mLを2回、3歳から13歳未満は0.5 mLを2回、13歳以降は0.5 mLを1回接種します。
インフルエンザワクチンの最も大きな効果は、重症化を予防することです。
インフルエンザの発症を抑える効果に関しては一定程度認められていますが、麻しんや風しんワクチンで認められているような高い発症予防効果を期待することはできません。
インフルエンザに感染後1週間程度で回復しますが、基礎疾患や高齢者では肺炎や脳症等の重い合併症が現れ、入院治療を必要とする方や死亡される方もいます。毎年のワクチン接種で重症化を防ぐことが必要です。
ワクチン接種だけではなく、頻繁に手洗い・うがいを行うことも重要です。
寒い日が続き体調を崩しやすい季節に入りました。
定期試験や国試勉強で忙しい学生さんも多いと思いますが、体調を崩さないように気を付けてくださいね。