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2023.02.15

研修医ブログ

研修医が小児科をローテする度に発熱するジョージくんについて

#研修医

おつかれさまです。

賞味期限が1年以上過ぎてしまったラスクを「まあ加熱すれば食えるだろう」とオーブンで焼きそして焦がし医局で異臭騒ぎを起こしてしまった初期研修医の服部です。

服部謹製・黒焦げラスク

少し専門的な話になってしまい恐縮ですが、腐っていそうなものは頑張って食べようとせず捨てると良いですよ。

既視感のあるネタ

僕は現在小児科研修中です。

小児科研修は主に外来がメインとなりますが、小児と成人とでは診察の仕方が大きく変わるため、今回は実際の診察に先んじて、ある方に協力していただき診察のロールプレイを行いました。

ある方とは、そう、ジョージ君です。

なんか既視感あるなと思った方、いつも当ブログをお読みいただきありがとうございます。

そうです。つい3か月前の、同期の森下のブログ記事でも取り上げられていましたね。

当院の小児科研修では、人形を使って小児診察のロールプレイを行う機会が設けられており、ネタとしてはもう擦りに擦られ角がなくなってしまっているような状態です。

ということで今回は趣向を変え、僕が「おさるのジョージ」のアニメを見た感想をブログにします。

ブラウザバック?正しい選択です。

Youtubeで視聴可能

絵本が原作の「おさるのジョージ」は、アメリカで2006年からテレビシリーズとして放映されている作品で、翻訳されたアニメがNHKで現在も放映されています。

さすがにNHKでリアタイ(リアルタイム視聴)するほどのジョージガチ勢ではないため、今回はYoutubeで視聴可能だった、シーズン1 第1話「たこたこ、あがれ」についてレビューしたいと思います。

 おさるのジョージ たこたこ、あがれ!(公式Youtubeチャンネル)

まずはあらすじを簡単にまとめます。ネタバレ注意。

”ジョージ”は飼い主である”黄色い帽子のおじさん”と一緒に、田舎の別荘に来ています。(普段は都会の高層アパートに住んでいます。)風の強いある日、隣に住む男の子”ビル”から凧を預かったジョージは、凧に引っ張られて空に飛ばされてしまいます。降りれなくなったところを黄色い帽子のおじさんがハンググライダーで救出し、事なきを得ます。

さすがはNHKで放映されるアニメ、教育的なシーンが散りばめられています。

ジョージは風でものが飛ばされるのをみて、レンガやボール、紙などを風に乗せようとしますが、密度の高いレンガはどうやっても風に飛ばされることはありません。「風に飛ばされる」とはどういう現象なのか、「軽い」というのはどういうことなのか、その視点を非言語的に表現しています。

とかそんなことを格好つけて語っていますが、

実際は「ビルの声、ナルトと同じじゃん!」とか「黄色い帽子のおじさん凄すぎワロタww怪盗キッドかよww」とかしか考えていませんでした。

まぁ仕事してないときは戦略的に頭を休めているものと受け取っていただけると幸いです。

そもそもハンドルを握らないという、怪盗キッドもびっくりなグライダー捌きを見せるおじさん
© Universal City Studios LLC. Youtube公式チャンネル『おさるのジョージ たこたこ、あがれ!TVアニメシリーズ フルシーズン1 』より引用

考えすぎちゃう服部

そんな思考停止状態で視聴しているなか、それでも気になって仕方がなかったことがあります。

それは、凧の持ち主である隣に住む少年ビル「都会っ子いじり」です。

たった10分程の1話のなかで「凧を揚げたことのない都会育ちの君には任せられない」「都会っ子の割に木登りが上手いじゃないか」「都会っ子なのに僕よりずーっと高く揚げているぞ」と、ことあるごとに都会っ子というくくりでジョージを下に見てくるのです。

はじめは、言葉を話すことができない、つまり言い返してこないジョージに対してビルがナチュラルに悪口を言っているような構図なので「ナルトの声でそんなこと言うなよ、、、やめてくれぇ、、、」とも思っていました。

都会っ子に凧は貸せないとマウントを取るビル
© Universal City Studios LLC. Youtube公式チャンネル『おさるのジョージ たこたこ、あがれ!TVアニメシリーズ フルシーズン1 』より引用

でもちょっと待ってください。よくよく考えてみると、ビルが圧倒的に誠実な人物であると分かります。
ビルは「都会っ子」という表現を、「自然に親しんでいない温室育ちな子」というようなニュアンスで使用しています。

しかし、ジョージは猿です。普通に考えれば、田舎で多少自然に親しんだ程度の人間の少年が、運動神経や自然への適応能力で猿に敵うはずがないのです。

そしてビルは一度も、「猿」と言っていません。
つまり、ビルはジョージのことを「猿」ではなく「人」として認識しているのです。

ジョージの知性が、表現が、意思が、人たり得るのだと、誰に説明されることなく理解し、心から対等な「人」として接しているのです!!

対等な存在としてジョージに語りかけるビル
© Universal City Studios LLC. Youtube公式チャンネル『おさるのジョージ たこたこ、あがれ!TVアニメシリーズ フルシーズン1 』より引用

なんという叙述トリックなのでしょうか!

僕ら視聴者は「おさるのジョージ」というタイトルのアニメを再生しようとする時点で、半ば強制的にジョージを「賢くてかわいい猿」と認識させられます。

しかし、あまりにもしつこいビルの都会っ子いじりに、きっと誰しも違和感を感じるでしょう。すぐに考えるはずです。なぜ意味もない悪口を回収もせずに散りばめるのか、と。

そして気付かされるのです。純粋なビルと違い、いつのまにか自分たちがジョージのことを「猿」とカテゴライズしていたことを。

第1話でここまでするのか、、、!!!

流石長寿シリーズのアニメ。人気にはワケがあるということですね。

ついに気付く

当院の小児科で行われているこのロールプレイ。

子役になりそうなものならどんな人形でもいいはず。

それなのになぜ、わざわざ「ジョージ」の人形を使用しているのか。

そう、「猿」でも「人形」でもなく、ひとりの「小児」として、本番さながらの緊張感を持って診察に臨め。そういうメッセージなのでしょう。

甲府共立病院の小児科研修、すごいです。

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