2024.10.28
研修医ブログ
高校生と創るケースカンファレンス
こんにちは、家庭医療専攻医の樋山です。
最後にブログを書いたのが初期研修医2年目なんで、実に5年ぶりの執筆業務です笑
受験生企画で講師しました
今回は9月にやった医学部受験生向けの企画について書いています。
企画を主催している医学生担当の方曰く…、
「毎年、医学部を目指す高校3年生・予備校生に向けて実施しているもので、受験の際に役立つ医療の知識や地域医療とは何かを実践的に伝える企画です」ということらしいです!
ということで、今年はまず小西利幸院長が「医学部を志すみなさんへ」というテーマで、日本の医療の現状や山梨県の医師不足や偏在問題、高齢化の現状などについて話しました。
これから医学部受験・面接試験に挑む学生さんたちには、とても有用な内容だなあ…。
とメモを取りながら聞いている姿を見て感じた気がします。
ケースカンファレンス/グループワーク
そして場があたたまったところで自分の出番です。
あまりのプレッシャーに考えていたギャグを1つしか言えなかったのが悔やまれます。
ちなみに私の講演テーマは「医師と高校生がつくるケースカンファレンス」。まんま企画名です。
私が実際に経験した事例を紹介しつつ、「自分が医師だったら、この患者さんに対して何ができるだろうか?」を考えてもらうグループワークをメインにしました。
盛り上がるか不安でしたが、各グループごと結構さかんに話し合っていて、
「(この患者さんの)家族は支援してくれないんですか?」
「この人(患者さん)は仕事できないんですか?」
「趣味はないんですか?そういう交友関係はないんですか?」
「1ヶ月の生活費ってどのくらいなんですか?」
など色んな角度から率直な質問もたくさん出してくれて、とても嬉しくなりました。
健康とSDH
せっかくだからここでも、内容を一部紹介します。
まず「健康」について。
WHOは「単に疾病や病弱の存在しないことではない。肉体的、精神的および社会的に完全に良好な状態である」と定義しています。
肉体的に良好でない≒異常というと、高血圧などの病気や障害が考えられますね。
精神的に良好でない≒異常となると、統合失調症などの精神疾患やストレスを思い浮かべるでしょう。
では「社会的に良好でない≒異常」とはどういう状況でしょう?
WHOは貧困、差別、失業、食糧難、交通弱者、薬物依存、性的思考・性自認、戦争などを代表に挙げています。
個人を取り巻く社会環境によって健康は左右され得る、という概念がSDH(健康の社会的決定因子)です。
SDHはよく川の図で例えられます。
病気になった人を治療する行為は、川の下流で溺れている人を助ける行為に例えられます。
もちろん、病気の治療自体は必要なのことですが、患者・病気を生み出す川の上流(社会環境)にアプローチしないと、また病気を繰り返すかもしれません。
今回のワークを通して、目の前の患者さんの病気の原因の原因を探り、「どうすれば健康な状態になるのか」と常に考えることの重要性を感じてもらえたら嬉しいですね。
医療者を目指すみなさんへ
今回参加した皆さんからは、
「地域医療に関して知識も深まったし、他校の生徒と交流してケースカンファレンスができて、とても良い経験になった」
「今までにしたことのない貴重な体験ができた。患者さんへのアプローチをチームのみんなと考えることができた。試行錯誤しながら検討することができたのは面白かった!」
などありがたい感想をたくさん送ってもらえました。
受験生の皆さんは必死に勉強している最中だと思いますが、時には「自分がどんな医師/医療者を目指したいか」ということを考えてみてもらえると、勉強へのモチベーションや面接対策にもなると思います。
私たちの病院ではそんな皆さんのサポートする色んな企画を用意しつつ、個人での見学も受け入れています。
まずは気軽に問い合わせてみてください!