2024.06.21
研修医ブログ
ポートフォリオ発表会とふりかえり
つい最近まで「総合診療専攻医」と名乗っていたのですが、研修修了後~試験に受かるまではなんて言えばいいか若干悩んで天啓を得た家庭医療専攻医の山中です。
今回は3月に開催されたポートフォリオ発表会について書いてみようと思います。
年々人が増えてきました
山梨のポートフォリオ発表会はコロナ禍からスタートした企画で、初回開催で会場にいたのはほぼ専攻医と司会の先生方だけ。コメンテーターの郭友輝先生・新井大宏先生はオンラインの参加でした。
そこから徐々に会場に人が集うようになり、前回は新井先生が現地参加され、今回は郭先生も娘さんを連れて参加してくださいました。
他にも多くの方が会場で参加してくれ、今年入った1年目研修医(当時は学生)や新しくプライマリケア学会山梨支部の支部長になられた日向佑樹先生の姿もありました。
日向先生にも何度かコメントやご質問をいただき、大変勉強になりました。
各専攻医の発表内容
ここで我々の発表したポートフォリオを、発表順で載せたいと思います。
窪田由和子先生、領域:未分化な健康問題
「不明熱精査目的に入院した高齢女性に対して、不確実性への対応を意識して関わったことで、状態安定を図る事ができた一例」
元山隆太先生、領域:高いプロフェッショナリズムに基づく行動
「Difficult patientに対してCALMER Approachを用いて陰性感情のコントロールを行い、良好な医師-患者関係を構築できた事例」
林貴弘先生、領域:患者中心の医療・ケア
「増悪を繰り返す慢性心不全患者に対し「患者中心の医療」を実践したことで、安定した療養が可能となった事例」
樋山智和先生、領域:家族志向のケア
「家族カンファレンスで家族内の関係や役割を明確にしたことで、停止していた家族ライフサイクルが新たなステージへ発達し、安定した在宅療養が可能となった終末期癌患者の一例」
私・山中皐甫、領域:緩和ケア
「40代の悪性黒色腫・多発転移の患者に対し、多職種で関わり本人の希望を引き出し、全人的苦痛の緩和に努めた症例」
当日は自分の発表のことで頭がいっぱいで、正直、皆さんの発表についてはあまり記憶がありません…。
ただ後輩の元山先生と窪田先生は、難解で書きづらい領域なのに、上手くまとめてディスカッションも盛り上がっていて、いいなあと思っていた気がします。
あの時間を振り返って
山中のポートフォリオでは、病院で看取った癌末期の中年男性との関わりをまとめています。
入院している方はほとんどが高齢者という小規模病院で、スタッフも自分たちと年齢の近い方の緩和ケアは未知の領域でした。けれど、みんなで試行錯誤しながら、協力しながら懸命にやってきました。
そうした積み重ねがあったからか、患者さんご本人から「本当にここに来れてよかった」と話してもらったこと。看取ったあと、ご家族から「ここで最期を迎えることができてよかった」と言ってもらえたことは、今も胸に残っています。
今回、ポートフォリオにまとめるためにカルテを読み返したところ、すごい量のMSWやセラピスト、看護スタッフの記録を目にしました。
全てが上手くいったわけではなかったけど、このチームでできてよかったと、心からそう思います。
学びという面で振り返っても、慣れない薬の使い方を勉強できたこと。
若い方だったので、心理社会面の苦痛が強かったところに対して、MSWやセラピストが粘り強く関わってくれたので、そういう関わり方の勉強ができたこと。
自分自身も患者さんとの対話も工夫したことなど、今後にも活きることは大いにありました。
関わってくれた皆さんに、改めてお礼を伝えたい気持ちです。
もうちょっと続く
前編・後編で書ききろうと考えていたのですが、思った以上にポートフォリオ発表会編が長くなってしまいました。
そんなわけで、家庭医合宿編はまた次回に回したいと思います。よろしければ、3回目も読んでやってください。